はじめてカメラはこれでキマリ!?
EOS R7とEOS R10はどちらもおすすめできるぞ
少し遅くなってしまいましたが今月は、2022年初夏に発表&発売された EOS R7 と EOS R10 を中心としたかんたんなレビューをお届けしたいと思います。
こちらの2機種、キヤノンミラーレスカメラとしては初のAPS-Cセンサー搭載機となりますが、上位機種(EOS R5など)と比較してあからさまに機能を制限したモデルではなく、最新のオートフォーカスや被写体検出などの能力を引き継いだ魅力あふれるミラーレスカメラとなっています。
そのためどちらかで悩んでいる方も多いことでしょう。いつものことながらそんな方の背中を押せるような一記事になるように、EOS RやEOS RPとの比較などもお届けしたいと思います。
EOS Rシリーズ仕様比較
さっそくですが、よくあるEOS R7とEOS R10の比較ではつまらないので、EOS RとEOS RPも含めた「Rシリーズ」をざっくりと見ていきたいと思います。
実売価格がやや離れてしまうEOS R5やEOS R6は省かせていただくとして、さっそく下の4機種を並べた写真をご覧ください。
一番左のEOS Rと一番右のEOS RPはフルサイズセンサーのため、むきだしのセンサーが大きくなっているのがわかりますね。
また、同クラスの上位機種という位置付けのためか、EOS Rとその隣のEOS R7はセンサー保護用のカバーが付いています。
EOS R7はカバーがあるため大きく見えますが、実際はEOS R10と同じAPS-Cサイズのセンサーです。
この写真からEOS R10だけ異様に小さいということがお分かりいただけるかと思います。
続いて基本性能の中から気になったところをピックアップして比較表にしました。
特に気になったところを赤文字に、突出したポイントは黄色くマークしています。
基本性能の比較
EOS R7 | EOS R10 | EOS R | EOS RP | |
---|---|---|---|---|
発売日 | 2022年6月23日 | 2022年7月28日 | 2018年10月25日 | 2019年3月14日 |
有効画素数 センサー | 約3250万画素 APS-C | 約2420万画素 APS-C | 約3030万画素 フルサイズ | 約2620万画素 フルサイズ |
映像エンジン | DIGIC X | DIGIC X | DIGIC 8 | DIGIC 8 |
最高連射枚数(メカ) | 約15コマ/秒 | 約15コマ/秒 | 約8コマ/秒 | 約5コマ/秒 |
シャッタースピード(メカ) | 1/8000〜30秒 | 1/4000〜30秒 | 1/8000〜30秒 | 1/4000〜30秒 |
動画性能 | クロップなし4K60p | 4K60p | 4K30/25/24p | 4K25/24p |
連続動画撮影可能時間 通常/ハイフレームレート |
6時間/1時間30分 | 2時間/30分 | 29分59秒/7分29秒 | 29分59秒/7分29秒 |
メディアスロット | 2基 | 1基 | 1基 | 1基 |
ボディ内手ブレ補正機構 | 〇 | × | × | × |
測距輝度範囲(静止画) | EV-5.0〜20 | EV-4.0〜20 | EV-6〜18 | EV-5〜18 |
ファインダー | 0.39型/約236万ドット 約1.15倍 | 0.39型/約236万ドット 約0.95倍 | 0.5型/約369万ドット 約0.76倍 | 0.39型/約236万ドット 約0.70倍 |
バリアングル液晶 | 3インチ 162万ドット | 3インチ 104万ドット | 3.15インチ 210万ドット | 3インチ 104万ドット |
内蔵フラッシュ | × | 〇 | × | × |
USB充電/給電 | 〇/〇 | 〇/〇 | 〇/× | 〇/× |
EOS Webcam Utility | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
ボディサイズ(約/幅x高さx奥行) | 132x90.4x91.7 mm | 122.5x87.8x83.4 mm | 135.8x98.3x84.4 mm | 132.5x85x70 mm |
質量(約) | 530g | 382g | 580g | 440g |
実売価格(2022年9月時点) | 約18万 | 約12万 | 約19万 | 約11万 |
こうして見ると、3年の月日でずいぶんと進化したなあ〜、という感想ですね・・・。
そのため残念ながらEOS RとEOS RPはフルサイズセンサーという点だけが強みであって、他は新しいEOS兄弟に大きく後れを取っていると言って良いでしょう。
せめて値段が安ければ選択肢に入りますが、この価格差だと「絶対にフルサイズ!」と言う断固たる意図が無いなら新しいEOS R7かEOS R10を選ぶべきだと、個人的には思いますね!
ちなみに新しいほうのEOSであってもEOS R7しかボディ内手ブレ補正機構は搭載されていません。
つまり手ブレ補正が無いレンズ(レンズの名称に「IS」が無いもの)を使いたい場合は、EOS R10では少しだけ注意して撮影する必要があります。
具体的に手ブレ補正が無いレンズは「RF50mm F1.2 L USM」「RF85mm F1.2 L USM」などです。
広角撮影では手ブレの影響は小さいとは言われてますが、やはりあったほうが安心です。暗所での撮影にも強くなりますし…!
EOS R7かEOS R10で悩んでいる方は、予算とボディサイズなど許容できるなら、ボディ内手ブレ補正機構があるEOS R7を選ぶのも良いかもしれません。
EOS R7とEOS Rを比べてみる
すでに新しいEOS R7かEOS R10を選ぶべきだと結論を出してはいますが、ここからはサイズが近いEOS R7とEOS R、EOS R10とEOS RPの比較をしていきたいと思います。この価格帯でフルサイズかAPS-Cか迷う場合もこの比較になると思います。
EOS R7とEOS R10とどっちがおすすめか早く知りたい!という方はページ下部のまとめへどうぞ
なお写真で装着している交換レンズは、標準ズームレンズに相当するRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM(EOS R7)とRF24-105mm F4L IS USM(EOS R)です。(※RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMは単品レンタルは行っていません)
ボディサイズでは大きな差は感じられませんが、レンズを付けると…やはりフルサイズのレンズは大きく太いですね。
フルサイズセンサーは暗所に強かったりボケやすかったりとAPS-Cよりも優位なところは多いですが、コンパクトさはAPS-Cのシステムには逆立ちしても勝てませんね。
意外なことにグリップはEOS R7の方が大きめです。ホールドしやすさを追求した結果なのかもしれません。
ところでEOS R7は背面のファインダー横ダイヤルがこれまで見たことが無い形状になっています。
なんですかこれは…なぜスティック(マルチコントローラー)と一緒にしたのか。
この位置にあるこの回転方向のダイヤル・・・慣れれば使いやすいのか?ちょっとした試用では有用さを見出せませんでしたが、使いこなせれば便利なのかも。
EOS Rのマルチファンクションバーもそうですけど、たまに冒険しますよねキヤノンさん。
EOS R10とEOS RPを比べてみる
続いてEOS R10とEOS RPを見ていきましょう。装着レンズは先ほどと同じです。
当時、そのコンパクトさで驚かされたEOS RPよりもさらに小さくなったEOS R10が際立っています。ボディ幅が1cmも狭いんですよね。APS-Cセンサーだからこそのサイズ感。
でも厚みはEOS RPよりもあります。レンズを付けるからほとんど気にならないですけど。
あえていじわるに「小さすぎて手の大きい人に扱いづらく感じるかもしれない」「大型レンズを装着するとバランスが悪すぎる」と言えますが、これはこれで他と差別化出来ていて良いと思います。
あ、もう1つ、小型化による弊害がありました。
それはバッテリーも小さくなるため電池の持ちが悪いところです。
EOS R7はLP-E6NH、EOS R10はLP-E17というバッテリーを使いますが、撮影可能枚数はEOS R7と比較するとなんと40%程度も少ないのです(カタログスペック上)。
もちろん撮影状況や被写体、撮影の頻度などによって上下はすると思いますが、LP-E17はかなり小型のバッテリーですから、仕方ないのかなと。
話を戻して…操作性についてはEOS R10にもスティック状のマルチコントローラーが追加されているので、EOS RPより大きく操作性が向上しています。しかもEOS R7と違ってダイヤルと独立しているので見た目もすっきり!
今までの操作方法に慣れている方にはうれしいですね。
ちょっとした小話
完全に余談なのですが、ソニーやパナソニックなどのミラーレスカメラには、スティック状のコントローラーはなじみのあるもの…と認識していたのですが、該当機種を並べてみると、実は中級機以上のカメラにしか搭載されておらず、入門機と言えるボディに唯一搭載されていたのはα7 IIIくらいでした。
なおキヤノンではEOS R5やEOS R6、ニコンではZ7 IIなど、中級機はおろかそれなりに上位機種にのみ搭載されていた機能でした。
となると…EOS R10クン、なかなか侮れないすごいやつなのかもしれません。
他社の搭載状況はこのような感じ
EOS R7とEOS R10の画質比較
静止画に限れば、画質や撮影性能はほとんど同じで、不自由なく撮れるこの2機種ですが、実際のところはどうでしょう。
同じレンズ(RF24-105mmF4)を装着し、絞り優先モードでF4固定(解放)、その他の設定はすべてオートで撮ってみました。手持ち撮影のため少しのずれはご容赦ください。
以下の掲載写真ですが、EOS R7の方が画素数が多いため、同じ尺度で縮小すると少し大きめになっています。
オートホワイトバランスで少し色味に違いがありますが、画質についてはそこまで差はないかなと思います。
なお別窓で開くと3分の1に縮小した画像となります。
実際の使用感
実際に触ってみた感触を踏まえて、個人的な感想を列挙します。
グリップについて
R7は一般的な成人男性にはしっくりくるボリュームです。特に小指がグリップ内に収まるので、ぎゅっと握ることができます。
言い換えると、あまり手の大きくない方にはちょっと持ちづらく感じるかもしれません。
一方R10はグリップが小さめというか、ボディの高さが低めなので小指が余るという感じです。そのため片手でホールドしづらく、大きいレンズを装着時は右手だけでカメラを持ち続けるのは少し大変で、左手でレンズを支える必要がありそうです。
小指がグリップ下にはみ出てしまう
※完全に個人差の表れる部分だと思いますので参考程度にお願いします。
レスポンス
3年も経っているのでソフトウェアの違いがあるだろうと、起動やメニューのレスポンスを確認してみました。
若干EOS R7とEOS R10の方が早い?とも思いましたが、実用的な面で考えると大きな違いは感じられないと言い切ります!
バッファは上位機種の方が多いため、連続した処理や重い処理をさせると違いがあるかもしれません。
レスポンスは使いやすさに大きく貢献するため、次の大きなイノベーションに期待したいところです。
シャッターボタン
EOS R10はシャッターを切るまでの「あそび」の領域が少なすぎてシャッター半押しが難しく感じました。シャッター音については軽快すぎて安っぽく感じる方もいるかも(私は好きですが)。
上を見るときりがありませんが、さすがにEOS R7の方がシャッターボタンのフィーリングや操作感は上ですね。
動画モードへの切替
EOS R7のみ、動画モード切り替えが電源ダイヤルと一緒になっています(OFF/ON/動画モードの順にダイヤルによる切り替えが可能になっています)。
他のカメラはモードダイヤルに動画モード切り替えがあります。
どちらが使いやすいかは撮影者によると思いますが、私はONにするときに勢い余って動画モードになってしまうことが多発したので、写真が撮りたい方には若干ストレスかもしれません。
連射
フォーカスモードスイッチについて
ボディ全面のグリップ横に搭載されたレバー&ボタン。AFとMFを素早く切り替えられると謳う、新機能ですが、残念な点が2つ。
1つはレンズにAF/MFのモード切り替えスイッチがある場合はそちらが優先されるところ。
もう1つはレンズにモードスイッチが無い場合、意図せずマニュアルフォーカス側に切り替わっていると、オートフォーカスが効かない原因になることです。
存在を知っていればすぐ気が付くかもしれませんが、初心者の方にはなかなか難易度が高いように感じます。
まとめ
短時間の試用となりますが、EOS R7とEOS R10を触ってみて、どちらもフォーカス周りがすさまじい性能で、画面タッチでの操作もできるため、本当に使いやすいなあと感じました。
カメラが非常に賢く高性能のため、難しいことを考えないでシャッターを切っても失敗が少ないんですよね。
新しいカメラはこういう面でも強いので、カメラが初めての方ならなおさら新しいカメラをおすすめしたいです。
静止画撮影の性能についても、繰り返しになりますがほぼ同等なので、どちらか迷っている方はそれ以外のところで魅力的なポイント、あるいは重視するポイントが多い方を選ぶのが良いのではないかと思います。
言い換えると不満となるマイナスポイントが少ないほうですね。
かんたんにまとめると具体的には以下になります。
EOS R7がおすすめ
- ・現時点でのAPS-C最強を求める方
- ・動画性能も重視する方(長時間撮影がしたい)
- ・トリミングを多用する方
- ・ボディ内手ブレ補正が欲しい方
- ・SDカードスロット2基が必要な方
- ・防塵防滴を求める方※
フルサイズセンサーではないということを除けば、ほぼ全部入り。APS-Cセンサーカメラとして、EOS R7は2022年秋冬時点で間違いなくトップクラスのカメラですので、長く使える良いカメラが欲しい!とお考えの方はEOS R7がぴったりでしょう。
特に動画撮影時間は、従来の一眼カメラと違い30分制限が無く、ビデオカメラのように長時間撮れるので、これが決定打になる方も多いのではないかと。
なおコントロールダイヤルの形状と位置は要注意ですので、実機を手に取って試してみて欲しいポイントですね。慣れれば問題ないでしょうけど。
※防塵防滴の実現にはもちろんレンズ側も対応していないとダメなのでご注意ください。キットレンズであるRF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STMは対応していません!
EOS R10がおすすめ
- ・小型軽量に魅力を感じる方
- ・内蔵フラッシュが欲しい方
- ・実際にグリップを握って問題ないと思った方
- ・EOS R7の条件に合致しなかった方
EOS R10はエントリーモデルではなくスタンダードモデルであるとキヤノンは謳っていますが、先に書いた通り、静止画撮影についてはEOS R7と同じような性能で、最新のAFを堪能できてしまう、いわば「ハイスペックスタンダード」なカメラです。
動画撮影は多少劣りますが、それでもプロ用途でないなら全く問題ないレベル。素人にLogとかRAW高速連写とかは不要でしょう?よくわからないという方はなおさら気にするところではありません。
上位機種との性能差は小さめながら、昨今のカメラとしては値段も控えめ(決して安くはない)。
大事な部分はしっかりと、不要な部分はごっそりとそぎ落とす。例えば物理ボタンがわずかに少ないため、これまで中級機をバリバリ使い倒してきている方には、EOS R10は少し使いづらいかもしれません。
でも普通に使う分には高性能で必要十分。
あっ、バッテリーが小さいことは覚えておいてください。予備バッテリーがあると安心でしょう。
これからカメラを始めたい、新しいカメラが良い!とお考えの方に、EOS R10はぴったりだと思います。
まだまだ不安で決められない!という方は、APEX RENTALSのカメラレンタルサービスで試してみてください!