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EOS R5 CとEOS R5 気になる違いは何だ?

EOS R5とEOS R5 C 気になる違いは何だ?

フルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」(以下R5)が登場してから早2年弱。
2022年3月に業務用シネマカメラとして「EOS R5 C」(以下R5C)が発売され、APEX RENTALSでも先月よりレンタル取り扱いがはじまっています!

ところで皆さんはR5CとR5の違いって、理解していますか?
R5Cが欲しいけど供給不足で買えないから、R5を買っちゃおうか!中古で!
などとお考えの方はいませんか?

ちょっと待って!
R5CはR5とそっくりですが、中身は別物です!
今回の記事では両機を比較して違いを知ってもらう内容になっています。
興味を持っている方は是非最後までご覧ください!

あとお約束ですが、買えないときはAPEX RENTALSの カメラレンタルサービス を利用するのも手ですよ!

R5CとR5の仕様比較

EOS R5C と EOS R5 は似ているところが多いのは確かです。
さっそくですが下の基本性能比較表を見てください。

基本性能の比較

EOS R5 C EOS R5
センサー 有効画素数約4500万画素 フルサイズ
映像エンジン DIGIC X
液晶モニター TFT式カラー3.2型、約210万ドット
静電容量方式タッチパネル
ファインダー OLEDカラー電子ビューファインダー
0.5型、約576万ドット、約0.76倍
Photo⇔Videoのモード切替 レバー モードスイッチによる選択
撮影した動画のフレーム切り出しや編集 ×
アクセサリーシュー マルチアクセサリーシュー ホットシュー
タイムコード端子 ×
ボディサイズ(約) 142×101×111mm 138.5×97.5×88mm
質量(約) 680g 650g
実売価格(2022年5月時点) 約58万 約45万

センサーや映像エンジン、モニター、ファインダーは同じです。
内蔵のアプリ面では、撮影した動画の編集などがR5のみの機能となっていました。

サイズや質量には若干の違いがあります。
R5Cは冷却用の放熱ファンを搭載しているため、R5よりも奥行きがあります。
ただし後述にもあるとおりR5Cはボディ内手ブレ補正機構が非搭載のため、R5との重量差は30g程度しかなく、見た目ほどの重さは感じません。

R5には無い、R5Cに追加された機能としては、「Timecode端子」やTASCAM CA-XLR2d-Cに対応する「マルチアクセサリーシュー」があります。
どちらも業務用途において動画撮影に必要な機能です。

アクセサリーシュー部分も見た感じ同じですが、奥を覗いてみると新たに端子が追加されているのが分かります。

ボディの印字も若干異なっていて、R5Cはカスタマイズ可能なアサインボタンにナンバリングされているため、わかりやすくかんたんに覚えやすい感があります。


PHOTOモード時

続いて各モードを見ていきます。
まずは写真撮影のフォトモードですが、重箱の隅をつつくようなこまか〜いところを抜粋しました。
が、両機ともJPEGはもちろん、RAWやC-RAW、同時記録なども撮影できますし、連写性能も同じです。

オートフォーカスによる検出可能な被写体も、「人物」「動物優先」「乗り物優先」と、同じです(乗り物優先というものがあるのを今回初めて知りました)。

すべてチェックしたわけではありませんが、PHOTOモード時の機能違いはR5CにはR5と違ってボディ内手ブレ補正機構が無いくらいで、撮れる写真自体はともに同じと言って良いと思います。
レンズに強力な手振れ補正が搭載されているものも多いですしね。
ですので以下の表も主だったもののみの抜粋です。

EOS R5 C EOS R5
画素数 有効4500万
記録形式 JPEG、HEIF、RAW、DPRAW、C-RAW
AF デュアルピクセルCMOS AF II
被写体検出 人物(瞳・顔・頭部)、動物(犬・猫・鳥)、乗り物
シャッタースピード 1/8000〜30秒1/8000〜30秒
ISO感度 ISO100〜51200
AFエリア分割数 最大1053分割
測距輝度範囲 EV-6.0〜20
連続撮影速度 最高約12コマ/秒
多重露光撮影
ボディ内手ブレ補正 なし あり
静止画モード時の動画撮影 ×

R5は静止画モード中でも最大4K60pIPBの動画撮影が可能です。
全ての静止画モードで設定できるわけではなく、「シーンインテリジェントオートモード」時のみメニューに現れて画質設定ができるようです。
それ以外の静止画モードでは、動画モードのうち「プログラムAE C3」で設定した画質で動画が記録される、とマニュアルにも本体の案内でも書いてあるのですが、なぜかFHD30pIPBでしか記録できませんでした。

一方R5CはPHOTOモード時は静止画しか撮影できないようです。当たり前と言ってしまえばそうですが、プロ機ですので明確に機能が分かれているのかもしれません。


VIDEOモード時

続いて動画撮影の違いですが、以下の表を見ていただくとわかる通り、かなり違います。
ざっくりと言ってしまえばR5Cは業務用カムコーダーシリーズである「CINEMA EOS SYSTEM」に準拠していることが分かります。

EOS R5 C EOS R5
手振れ補正 電子IS ボディ内+電子IS
AF デュアルピクセルCMOS AF デュアルピクセルCMOS AF II
被写体検出 人物 人物、動物、乗り物
ガンマ BT.709 Standard / BT.709 Normal / BT.709 Wide DR / Canon Log 3 / PQ / HLG BT.709 / Canon Log 3 / PQ
波形モニター表示 ×
マーカー表示 ×
アナモフィックデスクイーズ レンズスクイーズ連動/×2.0/×1.8/×1.3 ×
記録フォーマット Cinema RAW Light、XF-AVC、MP4 RAW、MP4
スロー&ファストモーション 8K〜フルHD:1〜120 フルHD:120
撮影可能時間 無制限 29分59秒

気になる点はやはりR5Cは動画の記録時間が無制限なところでしょう。
実際は、記録モードによってバッテリーによる電力供給が追いつかなくなるため、外部電源による電力供給が必須になっている、という制約があります。
ジンバルやドローンを使った撮影には工夫が必要になると思います。

ちなみにR5は動画撮影モード時は静止画撮影できませんが、R5CはVIDEOモード時でも静止画撮影が可能です
ただし動画撮影中は不可で、記録される画質も設定している「動画の」解像度やモードで異なり、SLOT2のSDカードへの保存となります。
またPHOTO機能をアサインボタンへ割り振る事前準備が必要です。

その他所感

R5CのメニューUIはPHOTOモード時とVIDEOモード時で異なり、前者は民生用カメラと同等(R5と同じ)、後者は業務用のCINEMA EOS SYSTEMカメラと同等です。

R5Cのモード切り替えはかなり遅く、その遅さは1〜2秒といった程度でもなく、なんと切り替えに5秒程度かかっています。
一方R5は「MODEボタンを押してからINFOボタンを押す」といった、切り替え操作自体は煩わしいのですが、切り替わる時間は1秒もかからず、一緒に使っているとR5Cの遅さが際立って感じました。

続いて、R5Cはカムコーダーながら内蔵NDフィルターがありません(R5も同じ)。
交換レンズ側で対応する必要がありますので、少しだけ荷物と出費が増えます。

また、R5Cはカムコーダーながら映像出力端子がMicro HDMIです(R5も同じ)。
フルサイズのHDMIが欲しかった、と思われる方も多いことでしょう。

まとめ

このように、EOS R5 Cは、静止画撮影も高水準でこなせるが実際は生粋の動画機であり、搭載された機能も「映像制作のプロフェッショナル向け」のカメラと言えるでしょう。
素人が触ってみた感想ですが、「R5Cは8KのRAW動画などを編集することでその能力を発揮できるカメラである」と強く感じました。
R5Cのほうがいろいろできそうだし大は小を兼ねる的な考えもわからなくはないですが、8K RAW動画を扱うには高度な撮影技術もさることながら、撮った動画の編集環境も必要になると思います。
つまりスチールしか触ったことのない方が手を出すと、きっとやけどをしてしまうでしょう。
逆にR5Cを使用すべき方がR5をチョイスしてしまうと、深刻な不幸が生まれかねません。
なかなか難しいところですが、どうぞ最適な機材の選定をしてみてください!