キヤノン・ニコン便利なスポーツ撮影セット撮り比べ! 大望遠レンズで撮る野球撮影のコツ
一昔前まではスポーツの撮影はプロカメラマンの専売特許でしたが、
昨今の技術進歩によって、多少の難しさはありますが一般の方でも少しずついい写真が撮れるようになってきたように思います。
この記事をご覧になられる方はきっとスポーツの撮影がしたいけれどもどうしたらいいかよく分からないという方だと思います。
そんな方に非常に言いにくいんですが大切な事を伝えます。
「一眼レフを使ったからといって、誰でも簡単に思い通りの写真が撮れるわけではありません」
めちゃめちゃカッコイイ写真をイメージして撮影に臨み、
「ピントが、明るさが、画質が、画角が、、、思ったのと違う!!」
というのを繰り返して少しずつ上達していくもんだと私は思っています(経験談)
ただそこは買ったり借りたりとコストかかってますし、今日この日に出来るだけいい写真を撮りたいと思うのは当然の事だと思います。
そんな方に少しでも参考になればと、エイペックスレンタルズで新しく取り扱いを開始した撮影セットを2台抱えて早朝から草野球を撮りにいってきました!
少々特殊な環境ではありますが皆さんの参考になれば幸いです。
(草野球ってあんなに朝早いんですね。正直びっくりしました笑)
使いやすいようにレンタルした機材を事前準備
写真撮影はとにかく現場をイメージする事が大切だと思っています。
今回用意したセットはCanonとNikonの望遠撮影セット2つです。
なお本記事で掲載する焦点距離はレンズ側の焦点距離を示しています。
ご紹介する2機種はAPS-Cサイズのセンサーを搭載してますので、
Nikonは1.5倍、Canonは1.6倍の焦点距離となります。
つまりD7200に100-400mmのレンズを付けると150-600mmに、
EOS 7D Mark II に70-300mmのレンズをつけると112mm-480mmの焦点距離で撮影が可能です。
セットの特徴
Nikon D7200とSIGMA100-400のセット(チャレンジ!スポーツ撮影セット)
この機種はニコンの中級一眼レフになります。
エントリー機に比べISO感度の幅が広く、上位モデル並の常用25600まで設定可能です。
常に明るい環境なら恩恵は少ないですが、ナイターや少し暗いシーンでもシャッタースピードを稼ぎたいシチュエーションで優位になります。またWi-Fiによるスマホ転送にも対応しています。
EOS 7D Mark IIと純正70-300Lレンズのセット(ワンランク上の高画質&高速連写セット)
こちらの機種はキヤノンの中~上級一眼レフになります。
APS-C機では長らく最先端を走った機種に、最高品質のLレンズをセットにしました。
どうしても高品質なレンズは重くなりがちですが、こちらは1kgとぎりぎり初級~中級者の方でも御利用いただけるかと思います。
なんといってもこちらの機種は連射速度が優秀です。一瞬の輝きを切り取れる点では現在ご提供しているセット商品の中ではNo.1かと思います。(22/12月現在)
前日までに済ませておきたい準備
屋外撮影時の、特に晴天時の注意ですが、カメラボディの中にホコリや砂が入ってしまうと全ての写真が台無しになってしまう恐れがあります。そのため可能な限り外でのレンズ付け替えはしない事をおすすめします。
借りたままだとカメラとレンズが別々のため、自宅で先にセットしました。
使わない付属品や充電器などかさばるものは全て置いていきます。
中仕切りをスライドさせると望遠レンズを付けてもカメラがバッグに収まります。
置いていく付属品は無くさないように袋にまとめておきましょう。
撮影枚数にもよりますが、今回は午前中だけの撮影で1000枚以下と判断し満充電のバッテリーを1つ入れて撮影に望みました。
もっと撮影する場合やミラーレスカメラ、ライブビュー表示をする場合はバッテリーを最低2個持っていきましょう。
撮影する環境をイメージ
出来れば細かい条件が分かっていた方がいいですが、妄想でもかまいません。
今回は行ったことがない野球場に朝7時から向かいます。
- 天気は晴れ、撮影出来る位置は不明
- 撮りたい被写体はうちのスタッフの佐藤くんを中心に草野球チームの皆様
- ボールと選手を一緒にいれた写真や、砂の舞うようなシチュエーションを収めたい
という妄想を120%膨らませてそれに合わせた設定を考えます。
被写体がポーズ取ってくれる撮影では無いですし、試合はどんどん進みます。
悩んでいるとあっという間にシャッターチャンスを逃すので事前シミュレーションが最も大事だと思います。
ただ想像してもしても現地ではアタフタするものです。実際しました。
ただそういった失敗も含めて勉強だと思って可能な限り準備や下調べ、設定を行いましょう。イメージした上で失敗すると次に活かしやすいというメリットもあります。
膨らましたイメージで撮影設定
完全に我流のため、撮り慣れた方からすると変な部分もあるかと思いますがその点はご容赦いただけると嬉しいです!
シャッタースピード
今回はイメージに合わせて2機種ともにシャッタースピード(SS)優先で撮影します。
ニコンはS、キャノンはTvにダイヤルを合わせます。
SSは1/800から1/1000程度を想定します。
こちらがシャッタースピードを変えた写真の比較です
同じようにバットを振ってもらってます
1/250だと動きはありますが手もバットもぶれてます。
1/800だとすこーしブレはありますが概ね止まっています。
どちらが正解というわけではないので、撮りながら自分のイメージに合うシャッタースピードを探してみましょう。
ISO感度
ISO感度設定はオートにしておきましょう。
ISOは便利な機能ですが頼りすぎるとノイズだらけのパッとしない写真になってしまう両刃の剣です。ですがブレブレで全く使い物にならない写真よりはいいと個人的には思ってるので最大限活用します。7D Mark IIの初期値は上限6400になっているので、もし暗いシチュエーションなどの場合は設定を変えましょう。
オートフォーカス
撮影モードは高速連写にして、オートフォーカスはAF-C(コンティニュアス)で臨みます。動きのある被写体に追従してくれるAFですね。メーカーによって名称が違うのでCanonであればAIサーボという名称になります。
設定が分かりにくかったので説明書にも載ってますが一応解説!
【Nikon D7200】
レンズや本体のフォーカススイッチをAFにした状態で本体フォーカススイッチを押し込みます。押し込んだ状態でこのダイヤルを回すと変更が出来ます。
【Canon EOS 7D Mark II】
レンズのフォーカスをAFにした状態でモニター横のQを押しこの位置までカーソルを持っていきAIサーボを選択します。
更にモニター右上にあるこのボタンを押してからダイヤルを回しフォーカス範囲を設定します。ファインダーを覗きながら操作するとイメージが湧きやすいと思います。
広い範囲で被写体を抑えたい場合はワイドな設定にし、被写体位置が概ね絞れてる場合は狭くするなど現場で調整が必要です。
ドライブモード
投げた瞬間、打った瞬間にシャッターを切るのは難しいので、ボールも入れた撮影をする場合は高速連写モードにしましょう。普段から多用し過ぎると撮り終わってからの整理が億劫になるデメリットがありますが、スポーツ撮影時は必要な機能です。連射にはL(低速)とH(高速)がありますが、今回はHで臨みます。
実際に撮影しながら2機種を比較
プロの試合だとフェンスがあり傾斜のある座席が多いのですが、今回は草野球。
平坦な2面の野球場が2つくっついてる形状で、ボールにさえ気をつければどこに居ても良さそうです。ただ傾斜がないので選手同士が重ならない、かつゲームの邪魔にならないところをウロウロ探して撮影を開始しました。
余談ですがいい写真を撮るにはまず足で最高の位置を確保する事だと思っているので、こういう時はアグレッシブにいきましょう。
実際の撮影位置をスマホで撮るとこんな感じ。ライト線から少し離れたぐらいの位置で右バッター、右ピッチャーが多いといい画が収めやすいです。また競技の特性上、バットに当たれば1塁に走るので走る姿も収めやすそうではあります。
今回はレーザー距離計も持ってきまして、ここからピッチャーまで約80m、バッターまで約100mほどの位置になります。
ファールゾーンに陣取ったので、飛んでくるボールに気をつけながら試合も私もプレイボール。
ここからは実際の作例を中心に失敗作も含めて紹介させていただきます。
露出
まずご覧いただきたいのがこの写真。
うーん白飛び。
日向→日陰→日向みたいな環境で撮影していて、背景の森のようなところが暗い反面、ユニフォームが反射しやすい事もあり飛んでますね。シャッタースピードあげたのもありますがISOも2200と高めに出ています。
すぐ気付けば良かったんですが、自分自身眩しいところに居たため気づくのが遅れて2回終わりぐらいまではこの設定で撮ってました……。
色々いじっても良かったんですが、ここは露出を-2、~3ぐらいに設定して調整。
少し暗くなりすぎてました……これも現地だと中々気付けなくて反省です。
同じ位置から撮影しても、例えば外野などは丁度いい露出になっていたりするので難しいところです。画面内に明暗がある時は撮影しながら最適を探るようにしましょう。
オーバー、アンダーの写真は少し手入れして、露出をいじってない無加工の外野の写真と合わせてこちらです。(全てD7200)
シャッタースピードとフレーミングと連射
今回の狙った画としては舞う砂やボールと一緒に収まった選手です。
1/1000だとまだ少しボール動いてるのでちょっと勿体ないなと反省。
それ以外のポイントですと、スコアボードや芝を入れて撮ってみたり、被写体位置を中心からズラす、動きのあるところを切り取るなど工夫出来るところがたくさんあります。撮りながら選手の位置を考えたりと自分なりのかっこいいを探すのが楽しみの一つです。
またカメラ毎に使える連射スピードが違います。
D7200:毎秒6コマ
EOS 7D Mark II:毎秒10コマ
D7200もエントリー機に比べると優秀ですが、連射速度に重点を置く場合は7D Mark IIを選択してみるといいかもしれません。
主に連射した写真がこちらです(全てEOS 7D Mark II)
焦点距離
ある意味1番のポイントではないでしょうか。
そもそもここまで重たいレンズを担いでいくのは遠くの被写体を撮りたいがためです。どこまで近くに寄れるかは競技や場所、席によっても変わってきますのでその都度探っていただきたいですが、不慣れな方が手持ちで扱えるレンズの目安は1kgかなと個人的には思っています。
もっと遠くを撮れるレンズももちろんありますが2kg近くになったり、物理的に長さが出てしまったりと会場によってはとても扱いにくいです。また大きく重くなる事を我慢出来ても、遠くを撮れば撮るほど手ブレしやすくなります。重くなれば尚更です。
さてここからは70mの距離から焦点距離でどれだけ大きさが変わるか佐藤くんを被写体に見ていきましょう。括弧内は35mm換算の実焦点距離になります。お持ちのボディがフルサイズの場合はこちらの焦点距離を参考にしてください。
望遠レンズのありがたさがわかる写真ですね……。
ただ望遠が無くても大きくする方法でクロップ(拡大)があります。
これは物理的に拡大するのではなくデジタルの処理として引き伸ばす方法なので、
元の画質が低かったり、過度に拡大すると使い物にならない写真になります。
どの程度までいけるかは人それぞれですが、意外とスマホで見る分には結構な拡大でもいけたりします。先程の4枚を400mm以外拡大し、全て400mm相当にしたのがこちらです。
個人的には100mmを4倍拡大したもの以外は全然問題なく使えるんじゃないかなーと思います。様々な条件に左右されますが、2倍ぐらいまではいけると目安にしてみてください。
なお最近ありがちなご注意ですが、Wi-Fiでスマホ転送した画像の場合そもそも画質が1/4ぐらいまで落ちた状態で取り込まれる事が多いかと思います。
既に画質が落ちてますので、そこから拡大や修正するとどんどん荒れていってしまうので、出来れば撮った画像の原寸大から修正・調整する事をおすすめします。
まとめ
グレード的にもEOS 7D Mark IIの方が上に位置し連射も優秀です。レンズの手振れ補正・画質も上回る事からご予算が合って、更にWi-Fi機能などが不要という事であれば7D Mark IIのセットが個人的にはオススメです。2セット持っていきましたが最終的に7D Mark IIの方が撮影枚数は多くなりました。
ただ今の写真撮影にWi-Fiでのアプリ取り込みは欠かせません。更に遠くを狙っている場合は少しでも焦点距離が長いほうがいいのは間違いないので、御自身のケースに合わせてD7200のセットも是非検討してみてください。
もっともっと遠くを撮りたい! というお話はまた別の記事でご紹介させていただく予定です。
最後に今回撮った写真を少し調整して掲載させてもらいます。
最初に長々と書いていたイメージに近づけて……いますかね?
個人的にはイメージと結果と振り返りがとても大切だと思っているので、
- 撮った写真とイメージの比較(ボールがまだまだ止まっていない)
- 反省ポイントの振り返り(白飛びしてる写真が多い、AF設定に手間取る)
- 次どういう設定で撮ろうか(もっとシャッタースピードを上げる、同じ環境であれば-1EV、ホワイトバランスも手動調整必要かも)
こういった事を考えながら写真を整理すると上達出来ると思います。
また次回のスポーツ撮影記事にご期待ください!
最後になりましたが、撮影にご協力いただいたブラッキー(野球チーム)の皆様、佐藤君、相手チームの皆様ありがとうございました!