目指せ!脱初心者 一眼レフ撮影でおさえておきたい3つのポイント
「カメラの知識は無いけどまずは形から入る」「どうせなら性能の良いカメラを買う」
という脳内暗示のもと、完全に勢いで、結構な大枚をはたいてカメラを買ってしまった。とはいえ、いざ買ってしまうと後悔なんてありません。使い方の勉強もそこそこに、とりあえず使いたくなってしまう。
さて今回は、私のように形から入ってしまった初心者さんが役立つ、デジタル一眼レフカメラの基本を、自分も勉強しつつ、まとめていこうと思います。
一緒に初心者を卒業して、自信を持って撮影できるようになりましょう!
デジタル一眼レフカメラの強み
カメラ? いらないいらない、スマホで十分!
という方はかなり大勢いると思います。ごもっともなご意見で、大体の撮影はスマホで十分だと思いますし、実際に撮った写真をその場で見ると、スマホの方が上手く撮れている気もします。
しかも流行りのタイムラプスやHDR(High Dynamic Range)もスマホで撮れてしまう時代ですし、わざわざ大きなカメラを持ち出す意味は薄れてきているのかもしれません。
とはいえスマホが苦手な被写体は数え切れないほどあります。
- 動きもの
- 明暗が激しい場所
- 遠景
- マクロ
ぱっと思いついただけでもこれだけあります。
特に動体撮影はスマホでも頻繁に遭遇する撮影状況ですので、「そうだね……」と納得いただけているのではないでしょうか。
このようなスマホが苦手な写真を撮りたい場合は一眼レフカメラの出番になるわけですが、それでも二の足を踏んでいる方は、
- きれいな写真が撮れるけど難しい
- プロが使っていてなんかすごい
- 価格が高い
というネガティブなイメージが先行しているような気がします。でも実際のところはちょっと違います。
1.スマホでは撮れない写真がかんたんに撮れる!
2.レンズを交換して楽しめる!
3.エントリーモデルなら価格は控えめそうです、そんなに難しくも高くもないのです。
特に一眼レフカメラの醍醐味であるレンズ交換は、様々なシチュエーションで写真を撮ってみたい、新しいレンズを試したい、という欲求を生み出します。※
レンズ交換をすることで撮りたいシーンや撮影環境に合わせることが可能で、近寄れない被写体を大きく写したり、大きなボケを演出することができます。これが楽しいのです。
価格に関しても、上を見れば恐ろしい価格のカメラもありますが、キヤノンのEOS Kissシリーズと言った入門機で、かつ最新機種でなければ、レンズ付きで5万円前後で購入できてしまいます。
購入せずとも当社のようなレンタルサービスもありますので、カメラは身近な趣味の1つとして親しみやすくなったのではないかと思います。
使いこなすためにおさえておきたい3つのポイント
一眼レフカメラを手に入れた。
とりあえずそれっぽく写真は撮れる。
扱いにも慣れてきた。
それなら筆者のように次のステップに進みたいところ。
より撮影を楽しむために知るべきポイントはたった3つしかありません。
その3つのポイントは「ISO感度」「絞り」「シャッター速度」です。
どれも突き詰めると光(明るさ)を調節するためのものです。一眼レフカメラではこれら3つの値を変えることで光を調節し、撮る写真の写り方を変えているのです。
写真は「光」が命です。
取り込む光は多いほうが画質が良い影響をもたらしますが、あえて光を抑えないといけない場面もあります。具体的な数値は覚える必要ありませんが、3つはどれも関連性があるということは覚えておいてください。
なお、この記事を読んでいただいている方はフルオートモードやシーンモード(ポートレートや風景など)を中心に撮影されていると思いますので、フルオートから脱却し、「○○優先モード」といった半オートモードに挑戦することを前提で解説させていただきます。
半オートモードでは1つの値を変更すると他の値がシーソーのように連動して上下したりします。
マニュアルで3つとも操作するとなると途端に難しくなり慣れもかなり必要ですが、半オートならそこまで難しくはありませんので気張らずに読んでみてください。
では1つ1つ見ていきましょう。
ISO感度について
まず1つ目はISO感度です。
ISOはアイエスオー、またはイソと読まれることが一般的で、取り込んだ光に反応する度合いを調整するための値です。
ISO感度はどの撮影モードでも任意に設定することができ、ISO感度の値が大きいとわずかな光でも増幅させて明るく撮影することができます。ただしその反動でノイズが発生し、ザラザラとした粗い画質になります。
これを聞くと「じゃあISO感度は小さいほうが良いんだ」と思うかもしれませんが、光が少ない(暗い)と暗めにしか撮れませんし、暗いところで写真を撮ると、被写体ブレや手ブレが起こりやすく(※1)、残念な写真が生まれやくなります。
スマホで撮っても同じなので、暗い=ぶれた写真、を経験した方は多いはずです。
ですのでISO感度を上げることは手ぶれを抑制できる利点もあるのです。
上のサンプルですが、小さい写真だとそうでもありませんが、拡大するとブツブツとした粗い粒が認識できると思います。これがISO感度を高くした際の悪影響です。
まとめると、ISO感度の値が大きい(高感度)場合、暗い場所でも手ぶれしにくい写真が撮れますが、ザラザラとした粗い画質になります。
対してISO感度の値が小さい(低感度)場合は、手ぶれしにくくノイズの少ないきれいな画質で撮影できます。
周りの光が十分にあり明るい場所では、ISO感度はむやみにあげず、低感度で撮影するようにしましょう。
ISO感度の数値を上げると写真が明るくなるけどザラつくが、下げると綺麗になるけど下げれば良いというわけではない。
絞りについて
絞りは「F値」という数値で表され、光を取り込む量を調整します。
絞りを優先的に調整するときは「絞り優先オート」モード(キヤノンの場合、先の写真のAvというところ ※5)を使います。
F値が大きい数字のときは、絞りが絞られている状態です。
反対にF値が小さい数字のときは、絞られていない、開かれている状態です。
F値は水道の蛇口を例えにあげて説明されることが多いのですが、あまり蛇口を開けず水の流れが少なくなっている、つまり光の取り込み具合も少なくなっているイメージです。
光は多いほうが良いはずなのにあえて絞って少なくするのはなぜでしょうか。
多くの場合は写真全体にピントを合わせるためです。F値を大きくする、絞ることでピントの合う範囲が広くなるのです。(※2)
特に風景の撮影ではある程度絞って撮ることが多くなります。
また人物の撮影でも多少絞ることで、ピントが一番手前(鼻の頭など)しか合っていなく、それ以外はなんだかボケている、という写真を回避することができます。
複数人を撮影するときも多少絞ったほうが全員にピントが合いやすくなります。
他にF値を大きくする状況は、真夏の日中の屋外での撮影など、周りが明るすぎるようなときです。
明るすぎると写真全体が白とびしてしまう確率が高まるため、それを避けるために絞ったり(またあとで説明しますが露出補正をしたり)、絞りたくないときはNDフィルターというあえて光の量を減らすアタッチメントをレンズにつけたりします。
反対に、絞らずF値を小さくすることで光を多く取り込むことができます。
蛇口を開放して水を勢い良く通すイメージです。
F値は小さければ小さいほど明るくなりますが(※3)、ピントの合う範囲が狭くなるので、ピントが合っていない部分でボケを生み出すことができます。
つまり暗い場面での撮影はもちろん、表現の幅を持たせるにはF値が小さいほうが有利です。
上記写真を見比べるとF4の写真は釜飯の手前にだけピントが合っていて、後ろがボケているのが分かります。
F22の写真は全体的にピントが合っているかと思います。
また絞ることにより取り込む光が少なくなるので暗い写真になっています(※4)。
シャッター速度について
続いて3つ目、シャッター速度です。
シャッター速度は光を取り込む時間を調整するための値で、調整するときは「シャッター速度優先オート」モード(キヤノンの場合、先の写真のTvというところ ※5)を使います。
シャッター速度を速くすると動くものをピタッと止めた写真を撮ることができます。
ただし光を取り込む時間を短くしているので、そのままでは写真が暗くなります。
それを回避するために、十分に明るい環境なら相関関係であるF値を小さくすることである程度はカバーできますが、そうでない場合はISO感度を上げて光を増幅させる必要があります。
次の例のようにシャッター速度1/500で撮影した噴水は、水の玉が一粒一粒はっきり見える、瞬間を切り取った写真になっています。
シャッター速度を遅くすると、動くものをそのまま流れているように写真に収めることができます。ただし、光を取り込みすぎることで写真が白っぽく明るくなる傾向があるので、わざと暗く調整する必要があります。
2つ目の写真はシャッター速度1/8で撮影したもので、水の軌道が残り、線のように写っています。(若干手ブレをしてしまっているのもわかります)
シャッター速度を遅くして撮影をするときは、シャッターが切れる時間は撮影者が動かず止まってる必要がありますので、なかなか慣れやテクニックが必要です。
可能でしたら三脚等を使って手ブレ対策をしましょう。
シャッター速度が速いとピタッと止まった写真になるけど明るさが必要。遅いとスピードを感じられる写真になる。また明るくなりすぎないように注意。(三脚も重要)
さて「絞り(F値)」「ISO感度」「シャッター速度」と3つの設定項目を見てきましたが、一番最初にお話したように、半オートモードではどれか1つをいじるとその設定値に応じて他が再調整されます。
F値を大きくすると光を取り込む量が減る、つまり写真が暗くなるので、その分ISO感度が上げられたりします。
また、ISO感度を小さくすると光に反応する度合が小さくなるので、その分シャッター速度が遅くされて、光を長く取り込むようになったりします。
つまり最終的にカメラが受け取る光の量を上手く調整してくれているわけです。
だから1つのことだけを考えるだけでOKとなっていたのです。
とはいっても、カメラまかせだとイメージと違った写真が撮れることもあります。
写真が思ったよりも暗めであったり、もっと明るく、あるいはもっと暗く撮りたかった、など思うこともあるかもしれません。
(あまりにも極端な環境下ではきついですが)これは「露出」という項目を使えば解決できます。
かんたんに好みの明るさに調整して撮影できてしまいます。
露出について
露出とは光を当てることの意です。
カメラの用語としてみる場合は「露光」とも言います。
この露出の値をいじることで光の具合を調整して写真の明暗を変えるというわけです。
露出はカメラ上の独立したダイヤルであったり、ボタンによるゲージ操作でいじったりできるようになっています。
露出の補正操作自体は至って簡単で、写真をより明るくしたい場合は+へ補正し、より暗くしたい場合は-へ補正すればいいだけです。
はい。これ以上話を長くすることができないほど単純ですので、今まで知らなかった、使ったことがなかったという方は、ぜひお手持ちのカメラを確認して、活用してみてください。
ただし! 明るい写真にするにはやっぱり他の項目を犠牲にしているわけですから、意図せずISO感度が上がったり、シャッタースピードが遅くなったりします。
撮影時はそのあたりも注視しつつ、行ってください。
最後に、筆者からのアドバイス
撮った写真はすぐに確認しよう!
撮った写真はその場で確認することをおすすめします。もしミスが見つかったら、改めて撮影し直せるからです。
例えば暗い場所で露出を+にして撮影し、その設定のまま次に明るい場所で撮影した場合、以下の写真のように白とびが激しい写真になってしまいます。
撮影に慣れていないとそもそもの設定が間違っているのにそのまま写真を撮っていて、帰宅して見てみたら全部失敗写真だった……という悪夢も考えられます。
ですがその場その場で試し撮りをしたり確認を怠らなければそれも防ぐことができます。
もちろん決定的瞬間など、再撮影できない被写体もありますが、普段から確認する癖をつけておけば、失敗する確率もだんだんと減っていくでしょう。
おまけ
ミラーレスカメラはどうなの?
スマホやコンデジじゃ物足りないけど、大きく重い一眼レフカメラはちょっと……と言う層に、訴求力バツグンのミラーレスカメラ。
おしゃれでかっこいいオリンパスのOM-Dシリーズや、プロも御用達のソニーαシリーズといった様々なバリエーションもあり、一眼レフじゃなくミラーレスでも良いんじゃない?とお考えの方は多いはず。
そんな方に、様々なカメラを触ってきた筆者が、あくまで個人的な意見ですが、個人ユースとして一眼レフとの決定的な差を述べさせていただくと
- ミラーレスは大きいレンズを付けると構えづらい。バランスが悪い。
- 液晶モニター、電子ファインダーを使うためバッテリーの消耗が激しい。
あくまで個人的な見解です(2回目)。さらに機種によっても多少の差はあることをご了承ください。
つまり逆の発想で、大きいレンズを付けなかったり、予備バッテリーを幾つか持って交換したりすれば、ミラーレスカメラでも十分活躍できるわけです。
ちなみに「ミラーレスは動きものに弱い」と言う意見を聞くことがあります。
これは高価なカメラ、レンズを使えば容易く覆りますので、ミラーレスカメラだから、というわけではありません。言い換えれば安価な一眼レフだって同じです。
大は小を兼ねるのはもちろんありますが、だからといってミラーレスカメラが全部ダメというわけでもありません。
特に初めてカメラを購入、使用を考えている方は、積極的に選択肢の1つにすべきと思います。
せっかくのカメラも大きくて邪魔だから持ち出さないとなれば、宝の持ち腐れですから。
※1 ISO感度を小さい値で固定すると、明るさが足りない状況では、絞り優先モードではシャッタースピードが遅くなり、ぶれます。 シャッタースピード優先モードでは絞りが開けられ、それでも足りない場合は暗くなります。
※2 被写界深度を深くしていると言いかえられます。被写界深度とは「ピントが合っているように見える範囲のことを言います。
※3 レンズによって最小のF値は決まっています。概ねF値を小さくできるレンズの方が高価です。
※4 撮影時はマニュアルでしたのでSSなどを調整しています。
※5 ちなみにPはプログラムオートモードで、基本的にカメラ側で絞りもシャッタースピードも決めてくれますが、撮影者が違う値にすることもできます。